『ブルーロック -EPISODE 凪-』原作者・金城宗幸にインタビュー 「凪は嫉妬や憧れを生む存在」 2ページ目 | アニメ!アニメ!

『ブルーロック -EPISODE 凪-』原作者・金城宗幸にインタビュー 「凪は嫉妬や憧れを生む存在」

2022年10月からTVアニメも放送され人気を博した『ブルーロック』。そのシリーズ初の映画『ブルーロック -EPISODE 凪-』が、2024年4月19日(金)より公開中。今回は、原作者・金城宗幸にインタビュー。物語の中心人物である凪 誠士郎と御影玲王への印象と合わせて、「エゴイスト」という言葉に込めた思いについてお聞きした。

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『劇場版ブルーロック -EPISODE 凪-』予告カット(C)金城宗幸・三宮宏太・ノ村優介・講談社/「劇場版ブルーロック」製作委員会
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  • 『劇場版ブルーロック -EPISODE 凪-』予告カット(C)金城宗幸・三宮宏太・ノ村優介・講談社/「劇場版ブルーロック」製作委員会
  • 『劇場版ブルーロック -EPISODE 凪-』予告カット(C)金城宗幸・三宮宏太・ノ村優介・講談社/「劇場版ブルーロック」製作委員会


――では、先生が思う凪と玲王の魅力を教えてください。

金城凪は僕の理想というか、カッコいいと思う人物像を詰め込んでいます。逆に言えば、「やる気がないのに何でもできちゃう奴が現実にいてたまるか!」という気持ちもあって。そういう嫉妬や憧れを生む存在が、凪です。玲王はハイスペックだけど、化けの皮を剥がせば普通の男の子。そういう意味では、凪と比べると共感しやすい少年なのかなと思っています。思い通りにならないことがなかった玲王が、思い通りにならない凪に振り回されるというのが、この2人の魅力だと感じています。

――2人の関係性そのものに魅力がある。

金城まさにそうです。ただ、凪にきっかけを与えたのは間違いなく玲王だけども、変化させたのは潔なんですよね。結局、変化をもたらしたのは別の人という人間模様も、本作では描いています。

――その辺りが『ブルーロック』の面白さ、らしさだなと感じています。

金城少年マンガの「昨日の敵は今日の友」じゃなくて、「昨日の友は今日の敵」と言えるかなと。これはビジネス社会に通ずるところもあるんじゃないかなと思いつつ、作品を描いています。

――もちろん友情は大切ですが、より高みにいくにはと考えたときに、玲王ではなく潔らと組んだ凪の選択は、ひとつの道なのかなと感じました。

金城ある種、正論と言えば正論ですからね。凪としては、その選択をすることに悪気はないんですよ。だからこそ、罪深い男です。

――でも、玲王もそれで腐らずにサッカーと向き合っていきます。

金城そうですね。彼は器用貧乏から器用大富豪になっていく人物。僕はそこが好きです。何かに突出していないところも、彼の魅力なのかなと思っています。

■「エゴイスト」という言葉に込めた思い

――『ブルーロック』は「エゴイスト」という言葉がキーワードの作品です。先生自身は、もともと「エゴイスト」とはどういう存在だと思っていましたか?

金城自己主張の激しい尖った人というニュアンスが、日本では通念としてあったのかなと思っています。ただ、それって悪いことなのかなって思いがあって。
現代では決して終身雇用が当たり前ではなくなりつつあると聞きますし、転職希望率も上がっていると聞きます。ただ、実際に転職するとなったら、自己認識を高めていないと「やっていけないぞ」という思いがあって。その背景を含めて、「個人の価値観で生きていこうよ」と僕が思っていたことを描くのに「エゴイスト」という言葉がぴったりだと思ったんですよね。

――「エゴ」という言葉にはネガティブなイメージがすごくありました。ただ、私自身、会社勤めからフリーランスになったのですが、その選択をできたのはどこかで自分に自信があったからなのかなと。振り返ると、私もエゴイストだったのかもしれません。少なくとも私は「エゴ」という言葉への認識が少し変わりました。

金城そう言っていただけるとすごくうれしいですね。この言葉をそういうふうに肯定的に解釈していただける大人が増えれば、たぶん子供が「エゴイスト」と言ったときに、ポジティブな方向に引っ張ることができそうな気がするんです。「エゴイスト」を“ただの都合のいい言葉”にしないのが大事だと思っています。

――本編では潔が負けて去っていくライバルの姿を見て、感情が昂るという描写がありました。衝撃的なシーンではありましたが、でもよく考えてみたら勝負に勝つ瞬間って、少なからずそういう感覚ってあるんじゃないかなって。

金城あれは、これまで言語化しちゃダメだったんですよ。でも、僕らは少年マンガでそれを言語化してしまった。「ざまあみろ」というのを可視化するのが、『ブルーロック』のやっていることなのかもしれません。

――あのような描写は、ちょっと否定的な意見もあったのでは?

金城それが、そうでもなかったんですよね。実は皆が潜在的に思っていることだったのかもしれません。僕はそういった描写を全肯定しているわけではなく、作品の面白さとして描いているつもりです。ただ、「言いたいよね」「思っているときもあるよね」というところを作品を通して顕在化はできたのかなと。

――本日は貴重なお話ありがとうございました。最後に劇場版で注目してほしいところや、ファンへのメッセージをお願いします。

金城エンドロールのあとに、とあるシーンが流れます。あれは劇場版でしか見られないTVアニメオリジナルの部分ですので、ぜひ見逃さないでください。すでにアニメをご覧になった方は100%、いや200%面白いと思いますが、初めて見る方も、200%楽しめる作品です(笑)。『ブルーロック』はどこから見ても好きになるキャラクターが一人は絶対にいる作品だと思うので、アニメや原作を読んでない方もぜひ劇場版を楽しんでいただければと思います。

<作品概要>
STAFF
原作:金城宗幸/漫画:三宮宏太/キャラクターデザイン:ノ村優介(講談社「別冊少年マガジン」連載)
監督:石川俊介
シリーズ構成・脚本:岸本 卓
ストーリー監修:金城宗幸
キャラクターデザイン:進藤 優、清水空翔
総作画監督:田辺謙司、もり ともこ、清水空翔
特殊効果:あかね
色彩設計:小松さくら
美術設定・美術監督:廣澤 晃
背景:Creative Freaks
撮影監督:浅黄康裕
撮影:チップチューン
3DCG:オーラスタジオ
編集:長谷川 舞
音響監督:郷 文裕貴
音響制作:ビットグルーヴプロモーション
音楽:村山☆潤
プロデューサー:有澤亮哉、佐藤尚哉、川勝宥典、柳井寛史
アニメーションプロデューサー:小菅秀徳
アニメーション制作:エイトビット
主題歌:Nissy×SKY-HI「Stormy」
配給:バンダイナムコフィルムワークス


CAST
凪 誠士郎:島崎信長
御影玲王:内田雄馬
剣城斬鉄:興津和幸
潔 世一:浦 和希
蜂楽 廻:海渡 翼
國神錬介:小野友樹
千切豹馬:斉藤壮馬
馬狼照英:諏訪部順一
糸師 凛:内山昂輝
舐岡 了:木村 昴
絵心甚八:神谷浩史

(C)金城宗幸・三宮宏太・ノ村優介・講談社/「劇場版ブルーロック」製作委員会


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