サイエンスSARUはチャレンジできる環境がある― オリジナルショートアニメを手掛ける3人の監督にインタビュー 2ページ目 | アニメ!アニメ!

サイエンスSARUはチャレンジできる環境がある― オリジナルショートアニメを手掛ける3人の監督にインタビュー

2024年3月1日よりMBS/TBS系全国28局ネット“スーパーアニメイズム”枠でサイエンスSARU制作による「オリジナルショートアニメ大作戦」が放送され好評のうちに終了、現在は各種配信サイトで視聴可能だ。

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『オオクニヌシとスクナビコナ』(C)2024「ショートアニメ大作戦!」プロジェクト・MBS
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■サイエンスSARUは挑戦したい声を聞いてくれる

――横山さんの作品に参加している森久司さんとはこの企画を以前から一緒に温めていたのだと思いますが、今回キャラクターデザインに若手の神林荘汰さんを起用した意図はなんでしょうか。

横山:『四畳半タイムマシンブルース』のときに彼の原画を初めて見てから何か気になるというか、引っかかるものがあったんです。未完成だけど何か惹かれるものがあるのでやってもらえたらなと。やってもらったら、すごかったです。

――神林さんは2020年に入社の方ですね。どのあたりがすごいのですか?

横山:僕は大抵、どこの会社でも問題児が好きなんです。神林さんは別に問題児じゃないと思うけど、あくまでも私見ですがそういう感じに惹かれました。神林さんは3カット目の原画、全キャラクターとタイトルが出るカットもやってくれて、すごくいいカットだと思います。ちなみに、カット1(最初のスクナビコナ登場カット)とカット12(オオクニヌシの便意が限界になる龍のカット)は、森さんの原画です。

――木下さんは『MOON Episode2 Camping』にどうしてNickさんを指名したのですか?

木下:Nickさんは入社時からクリエイターとして非常に惹かれるところがありました。すごく勝手な印象ですが、好きなものや、何かをかわいいと思う感性が自分と近い気がしていたので、本作の世界観もすんなり共有できるのではないかと思い、お願いしました。絵コンテは本橋茉里さんにやっていただき、演出とストーリーはNickさんにおまかせでした。

――Nickさんのアニメーターとしての魅力はどんな点にありますか。

木下:とにかくかわいいんです。すごく愛らしい動きを描くし、引き込まれます。でもアニメーター自身の我を出すわけではなく、あくまでもキャラクターの個性をきちんと引き出せる人ですね。

――サイエンスSARUには神林さんのような若い方や、Nickさんのように海外出身者も多いですね。多様で幅広いタイプのスタッフが揃っている印象を受けますが、サイエンスSARUは皆さんにとってどういうスタジオですか?

横山:僕の古事記も含めて、こういうオリジナル企画が通るのがすごいです。オリジナル企画をやる会社は他にもありますが、目指すところが違う、唯一無二の珍しい会社だと思います。

村越:本当に働きやすくて、チャレンジしたいという声をきちんと吸い上げてくれる会社です。監督と気軽に直接やり取りできる環境ですし、脚本やイラストを作成したら部署問わずコメントしあったりと、風通しのいいコミュニケーションが多いですね。定期的に企画コンペがあって、企画を出すトレーニングの意味合いもあるのか、部署や役職に関係なく入社1年目から誰でも挑戦できるんです。

木下:私も村越さんと同様、新卒入社でずっとここにいるので他社と比較できないのですが、ほとんど同じことを感じています。チャレンジしたいと口に出しても恥ずかしくない環境というか、気軽にやってみたいと言えて、それを受け止めてくれる心地良さを感じます。

――木下さんは2016年入社ですね。サイエンスSARUを選んだ理由はなんですか?

木下:湯浅監督作品が好きというミーハーな動機でしたが、他のスタジオでは当時デジタル作画のアニメーター募集があまりなかったのもあります。応募書類も他社は紙のスケッチをポートフォリオとして送るかたちが多かったのですが、SARUは自分の映像作品やデジタル素材でも見てくれたので、学生時代の自主製作作品を出して応募できるのがいいなと思って、ここにしました。他のアニメ制作会社では絵の上手さなどを見て評価することが多いと思うのですが、作品自体で評価してくれる会社は、当時私の知る範囲ではSARUだけでした。

――村越さんは2019年入社ですが、どうしてファインアートから商業アニメの世界に行こうと思われたのですか。

村越:友人の影響で、ミュージカルや舞台にも興味があって、物語に感銘を受ける機会が多かったんです。物語を伝える手段として、私は絵なら描けるのでアニメかなと考えました。

――きっかけになった作品があるということではなく?

村越:感銘を受けたアニメ作品はいくつもありますが、何か一つ作品をあげるとすれば大学4年のときに山田尚子監督の『リズと青い鳥』を見て、アニメの道に進むことを決めたという感じです。

――最後に、今後皆さんが挑んでみたいことはありますか?

横山:私はやはり古事記をアニメ化していきたいですね。小難しい神話だと思われていますけど、すごくぶっ飛んだ話が多いし、これを知らないのはもったいない。日本アニメの原点みたいな感性があると思います。むちゃくちゃな話が多いですが、森さんの上品な絵で描けば高尚なものになると思うんですよね。

村越:私は、これまでアニメーターとして作品に参加してきましたが、今年は演出に挑んでみようと思っています。今回の企画で、ルックの開発や作品の方向性を決めることの楽しさを知ることができましたし、SARUは挑戦させてもらえる会社なので、いろいろなことをやっていきたいです。

木下:私は志が低いので(笑)、何を表現したいとかこういう作品を作りたいというのはあまりなくて、シンプルに“絵を動かすのが楽しい”という動機でやっています。SARUで手掛ける仕事はどれも肌に合うし、それが幸せなので、これからもSARUで楽しんで仕事していけたらいいなと思っています。


【作品情報】
オリジナルショートアニメ大作戦!

『オオクニヌシとスクナビコナ』
『MOON』
『パンテオンの鳥』

★MBS動画イズム、ABEMA、DMM TV、FOD、Huluなど各種配信サイトで好評配信中。

《杉本穂高》
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